複雑な機械システムやメカトロニクスシステムの開発フェーズでは、信頼性の高い動的シミュレーションがとても重要になります。特に、車体やトラックフレーム、電子機器のハウジングのボルト結合部など、接合構造体において、より信頼性の高い疲労評価を行うためには、接触により発生する応力も考慮する必要があります。
しかしながら、それを実現するために必要な非線形接触条件は複雑であるため、一般的には、計算負荷を増大させてしまいます。そのため、このような非線形接触を考慮したシミュレーションは、極めて正確であると同時に迅速に処理できる数値モデルが必要です。
モードベース
接触解析
MAMBAは、接触による局所的な非線形効果を考慮した解析のためにカスタマイズされたソフトウェアです。シミュレーションを正確かつ迅速に達成するため、2つのステップで行われます。まず、1つ目は、接触面の特定、定義をした縮約モデルを作成します。2つ目は、この縮約されたモデルに基づいて接触を考慮したシミュレーションを行うことです。次の図は、商用車のフレームの疲労評価に適用した場合の基本的なシミュレーションプロセスになります。
MAMBAは、一般的なモードベース法を基に、接触で発生する応力を捉えることを可能にした拡張モードを活用したモーダルアプローチです。この機能は、汎用のFEMソルバーとMAMBA Preprocessing モジュール内で実行され、次のような利点があります。
- 接触界面の自動検出
- コンタクトレディ・モデルの削減
- ボルト接続のプリテンション
プリプロセス
MAMBAの接触を考慮したシミュレーションは、接触面を定義した縮約モデルがベースになります。そして、2つの方法があります。1つは、Multibody Solution と呼んでいる機構解析(MBS)モデルに組み込んで実行する方法です。もう一つは、Standalone Solution と呼んでいるフリーボディに節点荷重を入力して実行する方法です。
次の図は、車体のシミュレーションを例に、それぞれの方法を説明したイメージになります。
MAMBA Multibody Solution は、汎用のMBSソルバーにMAMBAをサブルーチンとしてアドオンして実行します。これは、接触応力がマルチボディシステム全体の挙動に影響を与える場合に、利用することを推奨します。利点は次の通りです。
- 柔軟なマルチボディダイナミックモデルへのシームレスな
統合 - フレキシブルボディ内の接触をキャプチャ
Multibody Solution
MAMBA Standalone Solution は、MAMBA Solver モジュールを使用して実行します。これは、必要な節点荷重が事前に利用可能である場合に推奨します。利点は次の通りです。
- シミュレーション・モデルの迅速なセットアップを可能にするウィザード
- 短時間での接触解析のためのカスタマイズされたソルバー
- 並列シミュレーション
Standalone Solution
MAMBAを使用することで、CAEエンジニアは、振動挙動の評価や疲労評価の改善など、構築されたモデルの動解析に対応することができます。次の図は、乗用車のバッテリーブラケットの疲労評価結果の例です。